エラのボトックスを打ち続けると噛む力が弱くなるという話は前からありました。2024年6月、サイエンティフィック・リポーツに超音波と筋電図と噛む検査を一緒に測った試験が載りました。筋肉は薄くなったのに、噛む性能は変わりませんでした。
咬筋は奥歯を噛むときに力が入る頬の横の筋肉です。この筋肉が厚いと顔の下側が角張って見え、ボツリヌストキシンを入れると力が入りにくくなって体積が減ります。
研究陣は咬筋が厚い女性26名を集め、片側の咬筋ごとにアボボツリヌストキシンA 75単位を打ちました。3か月後に無作為に分け、一方には生理食塩水を、もう一方には二回目の注射を打ちました。
生理食塩水を打たれた側が11名、二回目の注射を打たれた側が12名でした。患者も注射をする人も結果を測る人も、誰がどちらかを知りませんでした。三重盲検と呼びます。
測定は1か月、3か月、6か月に行いました。超音波で筋肉の厚さを測り、筋電図で筋肉に流れる電気活動を測り、実際に何かを噛ませてどれだけ細かく砕くかを測りました。最後まで終えた人数は23名です。
二回打った群の咬筋が、一回打った群より意味のある差で薄くなっていました。筋電図で測った電気活動も二回打った群のほうが低い値でした。
電気活動は、筋肉に力が入るときに出る信号を捉えて測る値です。値が低ければ、それだけ筋肉が動員されなかったという意味です。
一方で噛む性能は両群とも意味のある変化を示しませんでした。決められたものを噛ませてどれだけ細かく砕いたかを測る検査ですが、ここでは両群が分かれませんでした。
筋肉が薄くなり電気信号が減ったのに、噛む結果は保たれました。噛むのに咬筋一つだけが使われるのではなく、側頭筋をはじめとする他の筋肉も一緒に働き、ある程度まではそちらが分担を引き受けます。
この試験で使われたのはアボボツリヌストキシンAで、片側に75単位でした。この数字を、別の製品で案内される単位と並べてはいけません。
ボツリヌストキシンの単位は製品ごとに定義が違います。同じ「1単位」でも製品が違えば同じ量ではありません。韓国でエラによく使われる製品はオナボツリヌストキシン系の単位を使い、アボボツリヌストキシンの単位と1対1では換算されません。
相談で何単位打ったという数字だけを置いて他院と比べる場合があります。どの製品の単位なのかを一緒に確認して初めて、その数字に意味が生まれます。
最後まで終えた人数が23名です。噛む性能が変わらなかったという結果もこの人数から出たものなので、小さな差は捉えられていない可能性があります。
二群に分けた時点が最初の注射の3か月後なので、それ以前の変化は両群が同じ条件でした。
この試験で二回目の注射が加えた分は、筋肉の厚さと電気活動でした。角張って見える輪郭をさらに減らすには繰り返しが必要だという側に根拠が生まれます。
噛む性能が保たれた区間も6か月までです。三回以上繰り返した場合は、この試験が見ていません。
食べ物が噛みにくいとか硬いものが食べづらいという感覚が出たら、診察で伝えるほうがよいです。この試験が測ったのは検査室で測る性能であり、人が感じる不便と同じではありません。
打った製品名と単位を書き留めておくと、次の回を決めるときに役立ちます。製品が変われば同じ数字でも量が変わります。
この試験が示すのは筋肉が薄くなることと噛む力が落ちることが一緒に進まなかったという点です。二回打った群は筋肉がより薄く電気活動も低かったのに、噛む性能は両群ともそのままでした。
ただし23名が終えた資料で、6か月までしか見ていない結果です。ここから噛む力が一生保たれるという結論まで引き出すのは難しいです。
繰り返しの施術を決めるときは、打った製品と単位を一緒に書き留めておくほうがよいです。単位は製品ごとに定義が違うため、数字だけでは比較になりません。
この試験で6か月の時点に測った噛む性能は、両群とも意味のある変化を示しませんでした。ただし23名が終えた資料で、6か月までしか見ていません。
二回打った群の咬筋が一回打った群より意味のある差で薄く、電気活動も低い値でした。二群を比べた結果なので、個人が何ミリ減るかを示すものではありません。
そのままは比較できません。アボボツリヌストキシンの単位と、よく使われる他製品の単位は1対1では換算されません。製品名を一緒に確認してください。
この試験は3か月間隔で二回打ち、6か月まで見ました。三回以上繰り返した場合や他の間隔は確認されていません。