睡眠不足で太る理由と、減量中の睡眠習慣
睡眠が足りないと、空腹を呼ぶグレリンが増え、満腹を知らせるレプチンが減って、甘いものや脂っこいものが欲しくなります。減量食の最中に睡眠まで削ると、体重計の数字は同じように下がっても、脂肪の減りが少なく、筋肉を含む除脂肪量が多く減ったという研究もあります。やせようとしている間は、1日7〜8時間の深い睡眠を食事と同じくらい大切にしてください。眠れない理由によって、やるべきことは違います。寝つけない、何度も目が覚めるなら睡眠習慣と認知行動療法が先で、睡眠薬は短期間だけにします。いびきがひどく昼間に強い眠気があるなら、睡眠時無呼吸症候群かどうか確認してください。
- ACADEMY韓国皮膚肥満成形学会 首席学術理事
- PROFESSOR高麗大学校医療院 外来教授
- FELLOWSHIP米国フロリダ大学 Shands Hospital 研修
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- 梨花女子大学医科大学 卒業
- 高麗大学校医療院 修練
- 高麗大学校医療院 外来教授
- 米国フロリダ大学 Shands Hospital 研修
- 韓国皮膚肥満成形学会 首席学術理事
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食事を守り運動も欠かさないのに、体重がまったく動かないときがあります。共著の本『Eat to Succeed』(韓国語で出版、2026年)で、食事と運動の次の章を丸ごと睡眠に充てたのもそのためです。本には、運動と食事をどれだけきちんとしても、ひとつが欠けると結果が変わらないことがあると書きました。そのひとつが睡眠です。
本で空腹を6種類に分けて書いたときも、そのひとつを「疲労による空腹」と呼びました。睡眠が足りない日に、すぐエネルギーになる甘いものや脂っこいものを求めてしまう空腹です。本には「でもこのとき体が本当に必要としているのは、カロリーではなく深い眠りと休息だ」と書きました。
睡眠が足りない日にグレリンとレプチンが食欲を強める仕組み
寝不足の翌日は、昼食を食べてすぐにまた小腹が空きがちです。食欲を調節するふたつのホルモンが同時に乱れるからです。グレリンは胃から出て脳に空腹のサインを送るホルモンで、本来は空腹時に増え、食後に減ります。睡眠が足りないとこの調節が崩れ、体はエネルギーが足りないと勘違いして、もっと食べるようにとサインを送り続けます。グレリンが増えると、空腹感とともに、ピザやフライドチキン、スナック菓子のような高カロリーのものが欲しくなります。
レプチンは脂肪細胞から出て「もう食べなくていい」と知らせるホルモンです。睡眠が足りないとレプチンが減り、脳は満腹のサインをきちんと受け取れません。夕食を食べても何か物足りず、つい手が伸びるのはこのためです。
この変化を直接測った研究があります。健康な20代前半の男性12人が、食べる量と活動量を同じにそろえたまま、2日間は睡眠を減らし、2日間は増やして過ごしました。睡眠を減らした2日間は、レプチンが平均18%低く、グレリンは28%高くなりました。空腹感は24%増え、炭水化物が多く高カロリーな食べものを食べたい気持ちは33〜45%強くなりました。
ただし若い男性12人を2日ずつ観察した研究で、研究者自身も人数が少ないこと、エネルギー消費量を測っていないことを限界として挙げています。
睡眠不足の日に食べるのをこらえにくくなる脳の変化
サラダにしようと決めて出かけたのに、ピザを前にして気持ちが崩れる日があります。睡眠が足りないと、理性と判断を担う前頭葉の働きが鈍り、本能と感情を担う扁桃体と報酬系は過剰に活発になります。特に高カロリーの食べものを前にすると報酬系が強く反応し、頭で決めたことより先に体が動きます。
本にはこう書きました。「食べものを我慢できないのは意志が弱いからではなく、睡眠不足のせいで脳が正常に働いていないからだ」。前の晩によく眠れなかったなら、今日の食事が乱れたのを意志のせいだけにする必要はありません。
減量食の最中に睡眠を削ったとき脂肪の代わりに減るもの
やせると決めると、朝の運動の時間をつくるために早起きし、夜は残った仕事をして遅く寝ることもあります。カロリーを減らしている間に睡眠まで減らすとどうなるかを確かめた研究があります。過体重の成人10人が同じ減量食を14日間ずつ2回行い、1回は夜に眠れる時間を8.5時間、もう1回は5.5時間にしました。
どちらの期間も、減った体重はほぼ同じでした。違ったのは、何が減ったかです。8.5時間眠れた期間は脂肪が1.4kg減り、5.5時間のときは0.6kgしか減りませんでした。筋肉や水分など脂肪以外の除脂肪量は逆に1.5kgから2.4kgへと多く減り、睡眠を減らした期間は空腹感も強くなりました。
深く眠っている夜に出る成長ホルモンは、筋肉をつくり脂肪を燃やす働きを助けます。睡眠が足りず深い眠りが減ると、成長ホルモンはほとんど出ません。インスリン感受性も下がって、高くなったインスリンが脂肪の分解を妨げ、ストレスホルモンのコルチゾールは夜も高いまま残り、お腹と内臓に脂肪をため、筋肉を減らします。
ただし10人が2週間ずつ過ごした小さな研究で、研究者も期間と人数を限界として挙げています。この研究は睡眠を増やせばやせるかを測ったものではありません。減量食の最中に睡眠を減らすと何を失うかを比べました。
体重計の数字が同じでも、減ったものは違うことがあります。本にも、数字ひとつにこだわる必要はないと書きました。InBodyのような体組成検査は、体重を脂肪と筋肉に分けて示します。ユン・スジョン医院の体重の相談でも、院内でInBodyを測っています。
減量中に何時間眠ればいいかを決める方法
平日、目覚ましが鳴ってやっと起きるようなら、まず今の睡眠時間が自分の体に足りているかを知る必要があります。本に書いた方法はかんたんです。週末に目覚ましをかけず、自然に目が覚めるまで寝てみてください。そのとき眠った時間と、起きたときのすっきり感が、自分に必要な睡眠です。
本では1日7〜8時間の深い睡眠を目標にしています。時間と同じくらい大切なのが質で、8時間横になっていても何度も目が覚めて深く眠れなければ意味がなく、6時間でも途中で起きずに深く眠るほうがよいです。

深い眠りを守る1日の時間割と3.6.9の夕食
睡眠を増やそうと早く横になったのに、なかなか眠れない日があります。そこで本には、寝る前の1〜2時間の習慣とあわせて、日中の習慣も書きました。時間の順に並べるとこうなります。
| いつ | すること |
|---|---|
| 起きてすぐ | 外に出て15分以上日光を浴びる |
| 午後2時以降 | コーヒー・緑茶・エナジードリンクをやめる(カフェインは5〜6時間たっても半分が体に残る) |
| 午後3時まで | 昼寝は20分以内で終える |
| 寝る3時間前 | 激しい運動を終える · 夜はヨガやストレッチ程度に |
| 寝る2〜3時間前 | 夕食を軽めに済ませる · 食べすぎと脂っこいもの・辛いものを避ける |
| 夜9時 | スマートフォンやテレビを減らすか、夜間モードにする |
| 寝室に入るとき | 毎日同じ時間に寝室へ · 18〜22度で涼しく暗く · ベッドでは眠るだけ |
| 横になって20分 | 眠れなければ起きて、暗いリビングでストレッチをし、眠くなったら戻る |
3.6.9で夜9時の間食を「お腹が空いたときだけ」にしているのも、睡眠とつながっています。空腹すぎても満腹すぎても寝つきにくくなります。寝る前にお腹が空いたら、バナナや温かい牛乳、ナッツを少し食べれば十分です。
不眠に睡眠薬より認知行動療法を先にする理由
横になっても1〜2時間寝返りを打ち続けたり、明け方に目が覚めてまた眠れなかったりする日が続くと、睡眠薬に頼りたくなります。不眠にもタイプがあり、寝つけない、何度も目が覚める、早く目が覚めすぎる、の3つです。本では、不眠の治療として薬より不眠症の認知行動療法(CBT-I)を先に書きました。睡眠についての誤った考えと行動を変える治療です。
- 睡眠制限法8時間横になっていても実際には5時間しか眠れていないなら、ベッドにいるのを5時間だけにします。最初はかえって疲れますが、その疲れのおかげで翌晩は眠りやすくなります。ベッドにいる時間のうち眠っている時間が85%を超えたら、少しずつ延ばします。
- 刺激制御法ベッドでは眠るだけにします。横になって20分以内に眠れなければ起きて別の部屋に移り、強い眠気が来たら戻ります。これをくり返すと、脳はベッドを眠る場所として覚え直します。
睡眠薬は短期間なら助けになっても、根本的な解決にはなりません。耐性や依存が生じることがあり、深い眠りとレム睡眠の割合を減らして睡眠の質を下げることもあります。睡眠薬を使うなら医師と相談して短期間だけにし、認知行動療法や生活習慣の見直しを必ずあわせて行ってください。最後は薬なしで自分で深く眠れるところまで持っていきます。本のダイエット薬の章で「薬は道具にすぎない」と書いたのと同じ考えです。
いびきや脚の不快感で眠りが妨げられるときに確認すること
本人はよく眠れたと思っているのに、一緒に寝ている家族が、寝ている間に息が止まっているようだと心配することがあります。いびきがひどく、そう言われていて、昼間に強い眠気があるなら、睡眠時無呼吸症候群を疑ってください。息が止まるたびに本人の知らないうちに脳が目を覚まし、深い眠りに入れません。終夜睡眠ポリグラフ検査で確認できます。
睡眠時無呼吸症候群は体重と絡み合っています。体重が増えると首まわりについた脂肪が気道を狭めて呼吸をふさぎ、その過程でストレスホルモンが増えて代謝が乱れ、さらに太ります。そのため軽い無呼吸は、体重を減らすだけで良くなることがあります。あお向けに寝ると舌と軟口蓋が気道をふさぎやすいので、横向きに寝るのも助けになります。治療に使うCPAP(シーパップ)は、寝ている間にマスクから空気を送って気道を広げますが、最初は息苦しく音も気になるので、慣れるまで時間がかかります。
毎晩、脚がむずむずしたりしびれたり、何かが這うような感じがして脚を動かし続けてしまうなら、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)かもしれません。鉄やマグネシウムの不足がよくある原因に挙げられるので検査で確かめ、症状を悪化させるカフェインとアルコールは避けてください。
本にも、医学的な問題があるなら専門家の助けを借りるようにと書きました。こうした場合は、習慣だけでがんばらなくてかまいません。
よくある質問
Q睡眠不足だと本当に太りますか?
睡眠が足りないと、空腹を呼ぶグレリンが増え、満腹を知らせるレプチンが減ります。健康な男性12人が2日間睡眠を減らした研究では、空腹感が24%増え、炭水化物が多く高カロリーな食べものを食べたい気持ちは33〜45%強くなりました。
Qダイエット中に睡眠を削るとどうなりますか?
過体重の成人10人が同じ減量食を14日間続け、眠れる時間を8.5時間と5.5時間に変えて比べた研究では、減った体重はほぼ同じでした。ところが5.5時間のときは、脂肪の減りが1.4kgから0.6kgに少なくなり、除脂肪量の減りは1.5kgから2.4kgに増えました。
Qダイエット中は何時間眠ればいいですか?
本では1日7〜8時間の深い睡眠を目標にしています。自分に必要な時間は、週末に目覚ましなしで自然に目が覚めるまで寝てみるとわかります。長く横になっていても何度も目が覚めるなら意味がないので、睡眠の質にも気を配ってください。
Q眠れないとき、睡眠薬を飲んでもいいですか?
睡眠薬は短期間なら助けになりますが、耐性や依存が生じることがあり、深い眠りを減らすこともあります。医師と相談して短期間だけ使い、睡眠制限法や刺激制御法などの認知行動療法をあわせて行ってください。
Q寝る前にお腹が空いたらどうすればいいですか?
空腹すぎても寝つきにくくなります。バナナや温かい牛乳、ナッツを少し食べれば十分です。夕食は寝る2〜3時間前に軽めに済ませるのがよいです。

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