皮膚科でニキビにアゼライン酸をよく処方する理由
アゼライン酸は色素沈着にも役立ちえます。ただ私が診療でこの薬をよく使う理由は別にあります。ニキビそのものを治療しながら、ニキビが残した跡まで一緒に管理できる薬だからです。
「アゼライン酸は色素沈着にも良いと聞いたのですが、使ってもいいですか?」よく受ける質問で、実際に色素のために探して来られる方が多いです。
以前はニキビ治療の中で初めて出会う方が多かったのですが、最近はネットで先に調べて来られる方がかなり増えました。

肝斑のためにアゼライン酸を探しているなら
主成分はアゼライン酸(azelaic acid)です。メラニン生成に関わるチロシナーゼの活性を抑えるため、肝斑やニキビ後に残る茶色い色素沈着を薄くするのに役立ちえます。「色素にも効く」という話が間違いではありません。
ただ肝斑だけを治療する目的で、私がアゼライン酸を最初に選ぶことは多くありません。肝斑は肌タイプや色素の深さ、範囲によって治療法が変わり、使える外用剤も他の治療法も多様だからです。
何より、アゼライン酸は塗り始めにヒリヒリしたり熱く感じたり、乾燥を覚える方がいます。こうした刺激は治療初期には比較的よくあります。色素ひとつのために不便を我慢して使う必要があるかは、肌の状態を見て判断しています。
ところがニキビが一緒にあるなら話が変わります。
ニキビと跡を一度に見られるという長所
ニキビ治療が思ったより難しいのは、原因が一つではないからです。毛穴が詰まる問題もあり、皮脂と角質、炎症、ニキビに関わる細菌が一緒に影響します。
アゼライン酸はこのうち一つだけに触れる成分ではありません。毛穴の詰まりを減らし、細菌の増殖を抑えながら、炎症を鎮めるのにも役立ちます。米国皮膚科学会もこの理由からニキビ治療に使える外用剤の一つとして推奨しています。
そのため、ぶつぶつと上がる面皰性ニキビから赤く炎症を起こすニキビまで、肌の状態に応じて活用できます。
もう一つ、私が重く見る部分があります。ニキビが通り過ぎた場所に残る茶色い跡です。ニキビは治まったのに数か月も茶色い跡が残って悩む方が多いです。アゼライン酸はメラニン生成にも影響するため、こうした炎症後色素沈着を一緒に管理するのに役立ちえます。
診療室では普通こう説明します。
長く治療すべきときにも比較的使いやすい
ニキビは数日薬を塗って終わる疾患ではありません。良くなってはまた上がる過程が繰り返され、しばらく外用剤を続ける必要がある場合も多いです。
アゼライン酸は抗生剤系ではないため、耐性の問題で使用期間を制限する薬ではありません。比較的長く管理すべきニキビで使いどころがある理由です。
妊娠を準備中の方や妊娠中の方にも、比較的検討できる外用剤の一つです。妊娠中はレチノイド系のように使えない治療薬が出て選択肢が減りますが、アゼライン酸は皮膚からの全身吸収が少なく、妊娠中にも使用を検討する薬の一つです。ただ妊婦を対象にした十分な臨床試験があるわけではないので、妊娠・授乳中なら使用中の他の薬まで確認したうえで医療者と相談して使うのがよいです。
それでもすべてのニキビに使うわけではありません
古くから使われてきた治療薬ですが、誰にでも最良という意味ではありません。肌がとても敏感な方はヒリつきや乾燥で使いにくいことがあり、炎症が強い、瘢痕が残るほどのニキビなら外用剤一つでは治療が難しい場合もあります。
逆に、面皰と炎症性ニキビが混ざっていて、跡に茶色い色素が残りやすい方なら、アゼライン酸の長所をかなりよく活用できます。
長所の多い薬であることは確かです。ただ肌がとても敏感な場合や炎症が強い場合は、別の治療のほうが合うことがあります。ネットの評判で始めるより、今のニキビの形と肌の状態を先に確認するのがよいでしょう。
よくある質問
塗り始めがヒリヒリします。続けてもよいですか。
初期のヒリつき・熱感・乾燥は比較的よくあり、多くは時間とともに落ち着きます。刺激が続いたり赤みが強くなるなら中止して診療で確認するのが安全です。
どのくらい使い続ける必要がありますか。
効果が出るまで時間のかかる薬です。変化が見え始めるまで通常数週間は続ける必要があり、色素沈着はさらに長くかかります。耐性の問題で期間を制限する薬ではないため、経過を見ながら続けるかを決めます。
子どもも使えますか。
20%クリームは12歳未満で安全性と有効性が十分に確立されていません。青少年に使うかは年齢と肌の状態を見て診療で判断します。
妊娠中も使えますか。
皮膚からの全身吸収が少なく、妊娠中に検討する外用剤の一つです。十分な臨床試験はないため、他の薬まで確認して医療者と相談のうえ決めてください。

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