鼻にだけにきびが繰り返しできる理由
鼻ににきびが繰り返しできるのは、手入れが足りないからではなく、その場所の構造のためです。顔の中で毛穴の密度がいちばん高いのが鼻なので、詰まる機会もその分多くなります。ただ、鼻のにきびは押し出す瞬間に結果が分かれます。表面に出口ができているものと、まだ深く埋まっているものをどう分けるのか、そしてなぜ鼻が瘢痕に不利な場所なのかを書きました。
鼻にできたものを自分で押し出してから来られる方がよくいらっしゃいます。押す前より赤く硬くなった状態でいらして、どうして大きくなったのかと聞かれます。数日前の夜に鏡の前で一つだけ触った、とおっしゃいます。
鼻はとりわけ手が行きやすい場所です。すぐ目に入りますし、指先に引っかかるからです。ところが同じ力で押しても、頬では済むのに鼻では跡が残ることがあります。
鼻でにきびが繰り返す構造的な理由
顔は場所ごとに毛穴の密度が違います。真ん中がいちばん高く、外側に行くほど低くなります。鼻と額が高いほうで、頬とフェイスラインが低いほうです。
毛穴が密な場所は、皮脂が出てくる通り道もその分多いということです。通り道が多いのは詰まる場所も多いという意味になります。鼻を特別に手入れしていないからできるのではなく、もともとそういう場所です。
1994年の研究では、シアノアクリレート法で額・頬・あご・鼻の毛穴の数を数え、真ん中が高く外側に行くほど低くなる分布を確認しています(Br J Dermatol 1994・PMID 7857840)。ただし毛穴の数と皮脂の分泌量は互いに比例しませんでした。毛穴が多い場所だからといって、脂がより多く出るわけではないということです。
相談でこの話をすると、これまで洗顔が足りないせいだと思っていた、とおっしゃる方が多いです。むしろ強く洗いすぎて悪くなってから来られる場合のほうがよくあります。
押し出してよいものと置いておくものの分け方
鼻に触れるものを全部同じように見るわけにはいきません。診療室ではまず、表面に出口ができているかを見ます。黒い点のように入口が開いていれば、中にあるものが出る場所がある状態です。
反対に、赤く硬く触れるのに表面に穴が見えないものは、まだ出る場所がない状態です。これを力で押すと、中身が外に出ずに横と下に広がります。炎症が広がり、治るときの跡も大きくなります。
この二つを家で指先で見分けるのは難しいです。私は、押して痛いものは触らないでくださいと申し上げます。痛みがあるということは、炎症がすでに周りまで来ている合図だからです。
圧出のあと赤みが長く残る理由
病院で圧出を受けたあと、その場所が数日赤いのを見て驚いて連絡をくださる方がいます。圧出は詰まったものを取り出す代わりに、その場所に刺激を残します。赤みはその刺激に対する反応です。
圧出のあとの赤みは患者さんがいちばん気にされる点の一つで、これを減らそうとする研究も出ています。面皰圧出後の紅斑に対して595nmの色素レーザーを補助的に用いた研究があります(J Cosmet Dermatol 2024・PMID 38192163)。私は圧出のとき、いくつ取るかをその日に決めます。一度にたくさん取るときれいに見える代わりに、赤みが長く続きます。
大事な予定が近い方には、数を減らすか日を延ばしてくださいと申し上げます。予定のない週にいらっしゃれば、そのときに余裕をもって整理します。
鼻のにきびが瘢痕として残りやすい条件
鼻は皮膚が厚く皮脂腺が多い場所です。厚いことがよく働きそうに思えますが、瘢痕では反対です。炎症が深く居座りやすく、治りながら陥凹が残ることがあります。
- 押して痛いものを繰り返し押し出した場合
- 同じ場所に何か月も同じものが上がってくる場合
- 炎症が収まる前に上から化粧で覆ってきた場合
- すでに別の場所に陥凹した瘢痕がある場合
上の四つのうち二つ以上当てはまる方には、圧出より先に炎症を下げるほうへ進みます。今きれいに見えることより、数か月後に陥凹が残らないほうがよいからです。
家でできることと、しないほうがよいこと
鼻のにきびで来られる方がすでに使っているものを伺うと、鼻パックとスクラブがよく出てきます。どちらも表面に出たものは剥がしますが、中で詰まっているものはそのままです。代わりに表面が削れて、塗り薬を始めるときによりしみます。
洗顔の回数を増やすことも役に立ちません。脂を取ればその分また出てきます。1日2回で十分で、それより大事なのは夜の塗り薬を抜かないことです。
塗り薬は鼻の一点に置くより、鼻とその周りを一緒に薄く覆うほうがよいです。今出ているものより、次に出るものを減らすほうが大きい薬だからです。

診療室で鼻のにきびを見るときの順番
鼻だけを見て決めません。額とフェイスラインを一緒に見ます。鼻にだけあればその場所の構造の問題と見て、額とフェイスラインにも一緒にあれば顔全体のにきびの一部として見ます。この二つは始める薬が違います。
黒い角栓が主に見えるのか、赤くて痛いものが主に見えるのかも分けます。黒い角栓のほうなら詰まりをほどく薬から、赤くて痛いほうなら炎症を下げる薬から行きます。
そして、いつからこうなのかを伺います。何年も同じ状態なら管理の方向を決める問題で、最近数か月の間に急にひどくなったのなら変わったものを探します。化粧品、薬、生活の時間帯のうち、変わったものがたいていあります。
鼻のにきびに施術をおすすめしない場合
レーザーや施術の話を先に出さない場合があります。今、赤くて痛いものがいくつも上がっている状態です。活動性の炎症の上に施術を重ねると、跡がより長く残ります。
こういう日は塗り薬と、必要なら飲み薬で炎症を先に下げます。そのあとに残った跡と陥凹を見て施術を決めます。順番を変えると施術を二度することになります。
反対に、炎症はすっかり収まって跡だけ残った方ににきびの薬だけを出し続けるのも合いません。残っているものが色素なのか陥凹なのかで次が変わります。
よくあるご質問
鼻のにきびは押し出してもよいですか。
入口が開いて黒い点のように見えるものは、診療室で圧出して整理します。赤く硬く、押して痛いものはまだ出る場所がないので、力を入れると周りに広がります。痛いものは触らないのが基準です。
鼻にだけにきびができる理由は何ですか。
顔の中で毛穴の密度がいちばん高い場所が鼻です。通り道が多い分、詰まる場所も多くなります。洗顔が足りなくて起きる問題ではなく、その場所の構造の問題に近いです。
圧出のあと赤みが数日続きますが正常ですか。
圧出は詰まったものを取り出しながら、その場所に刺激を残します。赤みはその反応で、たいていは数日のうちに収まります。一度にたくさん取るほど長く続きます。
鼻パックやスクラブは役に立ちますか。
表面に出たものは剥がしますが、中で詰まっているものはそのままです。表面が削れて、塗り薬を始めるときによりしみます。
鼻のにきびも瘢痕が残りますか。
残ります。鼻は皮膚が厚く皮脂腺が多いので、炎症が深く居座りやすいです。痛いものを繰り返し押し出した場合や、同じ場所に何か月も上がってくる場合は、圧出より先に炎症を下げるほうへ行きます。
洗顔を頻繁にすればよくなりますか。
脂を取ればその分また出てきます。1日2回で十分で、夜の塗り薬を抜かないことのほうが大きいです。

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