茶色い跡と赤い跡、なぜ治療が違うのか
「レーザーを何度も受けたのにニキビ跡がそのまま」。こうした場合、原因は機器より診断にあることが多いです。一つの問題に見えて、実際は似た見た目をした二つの別々の病変です。
ニキビ跡は一つの問題ではありません
茶色い跡 ― 炎症後色素沈着(PIH)。メラニンが過剰に沈着した状態です。茶色や灰褐色を帯び、日光を受けると濃くなる傾向があります。
赤い跡 ― 炎症後紅斑(PIE)。毛細血管が拡張したまま残った状態です。赤みやピンクを帯び、指で押すと一時的に色が薄くなります。
二つは原因も、必要なレーザーも違います。区別されないまま同じ治療が繰り返されると、期待した変化が出ないことがあります。

見分け方
専門家の診断が最も正確ですが、自宅で簡単に確認する方法があります。
- 色 ― 茶色や灰褐色ならPIH、赤やピンクならPIEの可能性
- 圧迫 ― 指か透明なガラスで10秒ほど押す。色が薄くなればPIE、そのままならPIHの可能性
- 日光 ― 紫外線を浴びて濃くなればPIHの可能性
実際には二つが混ざっている場合のほうがはるかに多いため、自己判断は参考程度に留めてください。

茶色い跡ができる過程
ニキビは皮膚の中の炎症です。炎症が起こると皮膚は「傷ついた」という信号を受け、色素細胞が必要以上に活性化します。作られたメラニンは周囲の細胞へ一つずつ渡され、炎症のあった場所全体が徐々に暗くなります。
炎症が強かった場合はメラニンが皮膚のより深い層まで下りることがあります。深く居座った色素は美白化粧品や軽いケアでは届きません。「ケアしているのになぜこの跡だけ消えないのか」と感じる理由がここにあります。

治療の第一段階はレーザーではありません
紫外線対策と外用剤です。トラネキサム酸、アゼライン酸、ハイドロキノン、レチノイドはメラニンがさらに作られる信号を遮断するために使われます。この段階なしにレーザーから始めると、改善の速度が再沈着の速度に追いつきません。肌が安定した後にトーニングが意味を持ちます。強く一度ではなく、低出力で繰り返すのが原則です。
臨床でも炎症刺激が強いほどPIHが悪化するパターンが確認されています。跡を早く消そうと強い施術を選ぶと、色素細胞が再び刺激され結果が遅れることがあります。
韓国人の肌は欧米人よりメラニンが豊富なタイプです。皮膚科では明るさによって6段階(Fitzpatrick分類)に分けますが、韓国人はその中間より上に位置します。欧米人の肌を基準に作られたプロトコルをそのまま当てはめると色素刺激のリスクが大きく、低出力で複数回という接近が一般に推奨されます。
赤い跡が消えない理由
ニキビの炎症が治まるとき、拡張した毛細血管は元の大きさに戻るはずです。ところが炎症の過程で血管新生物質が過剰に分泌されると、血管壁が損傷したまま拡張状態で固定されることがあります。こうして変形した血管が表面近くに残り赤く透けるのがPIEです。PIEは色素ではなく構造の問題なので、メラニンを狙うピコレーザーでは改善が難しいのです。
赤い跡の治療
赤い跡には血管を選択的に収縮させるレーザーが必要です。PDL(色素レーザー)は血中のヘモグロビンに反応し表層の毛細血管を狙います。IPLは広範囲の紅斑やPIEとPIHが混在する場合に使われます。ロングパルスNd:YAGはより深い血管まで届きます。
PIEは早く治療を始めるほど反応が良い傾向があります。時間が経って血管が完全に定着すると収縮反応が落ちます。「そのうち消えるだろう」と待つうちに治療回数が増える場合をよく見ます。


二つが混ざっているときは順序が重要
実際の肌では一つの型だけということはまれです。二つを同時に触るより、どちらを先に安定させるかを決めることが大切です。
PIEが優勢なら拡張した毛細血管から扱います。赤みが先に落ち着けば残る色素病変の範囲をより正確に評価でき、4〜6週後に茶色が残っていればトーニングを追加します。
PIHが優勢なら紫外線対策と外用剤が先で、肌が安定した後に低出力トーニングで進めます。
2025年のActa Dermato-Venereologicaの研究では、ニキビ後の色素沈着を重症度で分けています。軽度はレチノイド外用と色素ケアが中心、中等度はハイドロキノン、グリコール酸・サリチル酸ピーリング、レーザーを追加、重度は経口トラネキサム酸と併合治療まで広げます。すべての段階で共通する基本はSPF50+の紫外線対策とpH5の洗顔料です。

陥凹した瘢痕も一緒にある場合
跡の下にアイスピック型、ローリング型、ボックスカー型の陥凹した瘢痕が隠れている場合がかなりあります。色素と血管を管理しても照明の角度によって影ができ、「まだ跡のように見える」感じが残ります。トーニングや血管レーザーだけでは限界があり、真皮のリモデリングが先か併行される必要があります。
診断が先です
ニキビ跡の治療は「何で治療するか」より「何を治療しているか」の問題です。色素なのか、血管なのか、構造なのか。この区別が曖昧なまま機器だけ変える治療は回数だけが積み重なります。
よくある質問
自然に消えますか。
赤い跡は数か月かけて自然に良くなる場合もあります。ただ茶色い跡は紫外線対策なしに放置すると濃くなることがあります。
何回受ければよいですか。
跡の型、深さ、肌タイプによって変わります。PIHはトーニングを繰り返し、PIEは血管レーザーを複数回行う場合が多いです。
二つが混ざっている場合はどちらが先ですか。
PIEが優勢なら血管レーザーを先に、その後に色素ケアを追加します。PIHが優勢なら紫外線対策と外用剤を先に、その後トーニングで接近します。

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