肝斑のレーザーを強く受けると濃くなるのか
「熱心に治療を受けたのにかえって肝斑が濃くなった」と聞きます。この問いに答えるには肝斑とは何かから見直す必要があります。単に色素が溜まった状態ではなく、色素を作る細胞自体が過活性になった状態です。
色素工場と配送網
皮膚の中にはメラニンを作るメラノサイトがあります。この細胞は木の枝のように伸びた樹状突起を通じて周囲の細胞にメラニンを渡します。メラノサイトが工場で、樹状突起が配送網にあたります。
肝斑のある肌ではこの配送網がより活発に働きます。樹状突起が増えたり長くなったりして、メラニンの受け渡しが普段よりずっと活発になります。
ですから肝斑治療の目標は色素を多く取ることではありません。メラノサイトの過度な活動を正常に戻すことが目標です。

レーザーがすること
レーザーが皮膚に届くと、メラニンが入った小さな袋であるメラノソームがエネルギーを吸収します。この過程で光音響効果が起こりメラノソームが微細に分解され、同時に樹状突起の機能が落ちてメラニンの受け渡し自体が減ります。
ここで重要なのがパルス幅です。メラノソームは非常に小さい構造なので、エネルギーが周囲へ広がる前に瞬間的に伝える必要があります。Qスイッチやピコ秒レーザーが肝斑に使われる理由です。
なぜ強くすると濃くなるのか
エネルギーが過度に伝わったり照射時間が長くなると、メラノソームの中に留まるべきエネルギーが周囲組織へ広がります。熱損傷が生じ、その熱損傷がメラノサイトを再び刺激します。
色素工場を強く爆破しようとして周囲まで火をつけた格好です。工場はむしろ刺激を受けて色素をより多く作ります。これが反跳性色素沈着です。
肝斑のある肌はすでにメラノサイトが過敏な状態です。刺激により敏感に反応するため、強い治療が逆効果になる可能性が高くなります。

良い肝斑治療の三条件
- メラノソームだけを選択的に分解する。エネルギーが標的にだけ正確に届くこと
- メラノサイトの樹状突起の機能を減らす。色素を取るだけでなく受け渡し自体を調節すること
- 周囲組織の熱損傷を最小限にする。短いパルス幅を使う理由です
よくある質問
強く治療すれば早く取れますか。
そうではありません。肝斑の肌はメラノサイトがすでに過敏で、強い刺激により多くの色素を作ります。
なぜ熱損傷が悪化させるのですか。
エネルギーが過度に伝わると周囲組織に熱損傷が生じ、それがメラノサイトを刺激して色素生成をむしろ促します。
Qスイッチとピコ秒のどちらが良いですか。
どちらも短いパルス幅で伝えます。ピコ秒のほうが短時間で伝え熱損傷をさらに減らせます。ただしどちらが合うかは肝斑の状態と肌タイプによります。
肝斑は完全になくなりますか。
除去より管理の概念で接近するほうが適切です。メラノサイト自体がなくなるわけではなく、紫外線対策と生活管理が伴わなければ再発しえます。

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