リフテラとウルセラ、総エネルギーが近いのに結果が違う理由
HIFUをショット数や総Jだけで比べると、実際の結果と合わないことがあります。同じエネルギーでも、どの大きさの焦点にどのくらいの密度で届くかによって、組織に起こる熱の効果が変わるからです。リフテラを長く使ってきた立場でクールソニックを実際に使い、観察した違いを、エネルギーの計算と焦点の大きさという二つの軸で書きました。
当院はこれまでリフテラをよく使う医院でした。ペン型のHIFU(高密度焦点式超音波)は顔の凹凸や狭い部位に細かく入っていけますし、部位ごとに照射の位置と範囲を調整しながら進められます。
ただ使い続けるうちに、施術直後の変化とは別に、持ちの面ではウルセラに比べてもの足りないことがありました。それでショット数や設定エネルギーの値を比べるより、超音波のエネルギーがどんな形で組織に届き、どんな熱凝固の範囲を作るのかを考え直すことになりました。
ウルセラ4.5mmの一ラインに入るエネルギーの計算
私が主に使っていたウルセラ4.5mmチップの設定は0.9 Jでした。ウルセラは一ラインに熱凝固点(Thermal Coagulation Point, TCP)が17個できる方式です。
単純に計算すると、一ラインに入るエネルギーは0.9 J × 17 = 15.3 J です。
リフテラ4.5mmチップを使うときの設定は1.0 Jでした。総エネルギーだけで見ると、リフテラ3,000ショットとウルセラ300ショットはおおよそ近く見えます。
総エネルギーが近くても結果が変わる理由
大事なのは総エネルギーがいくつかということだけではありません。同じエネルギーでも、どの大きさの焦点にどんな形で、どのくらいの密度で届くかによって、組織に起こる熱の効果が変わり得ます。
たとえるなら、リフテラは細いペンで小さな点を密に打っていくほうに近いです。ウルセラは一回の照射でより明確な熱凝固点を作り、その深さにエネルギーを集中させる方式です。
熱凝固点の大きさと均一性が機器の差を作るという点は、MFU-V(画像確認つきマイクロフォーカス超音波)の安全性に関する合意文でも取り上げられています。
ですからHIFUを総Jや総ショット数だけで比べるのは、実際の治療効果を理解するには十分ではないと考えています。

アクリル板でクールソニックのドットがリフテラより大きく見えた確認
クールソニックを実際に使いながら私が気になったのも、この点でした。リフテラとクールソニックを並べて見ると、一発の照射でできるドットの大きさ自体が違います。
リフテラが細いペンで点を打つ感じなら、クールソニックはもう少し太いマーカーで点を打つほうに近いです。アクリル板に照射してみたときも、一発の照射で確認できるドットがリフテラより大きく見えました。
ただしアクリル板で見えるドットの大きさを、実際の人体の組織にできる熱凝固点の大きさと同じには読めません。一発の照射でエネルギーが作る焦点の性格が違う、ということを目で確かめる方法として参考にしました。
表皮冷却がエネルギーの設定範囲を広げる理由
HIFUは目標の深さに超音波を集めて熱を作る治療なので、治療の深さに十分なエネルギーを届けながら、同時に皮膚表面の熱損傷をどう抑えるかが一緒についてきます。
クールソニックの冷却システムは、この過程で表皮の熱の負担を減らす方向に働きます。私が施術するときも、リフテラより高い1.4 Jまで設定できました。
冷却があるからといって表皮の熱損傷の可能性がなくなるわけではありません。皮膚の厚さと脂肪層の量、骨格と解剖学的な構造、施術部位に合わせて、適切なエネルギーと照射の仕方を選ぶ必要があります。
クールソニックで一緒に働く三つの要素
私がクールソニックで注目したのは、リフテラよりエネルギーが強いという点ではありません。次の三つが一緒にあるという点です。
- ペン型HIFUの細かいアクセス性
- 一発の照射でできる相対的に大きい焦点
- 表皮冷却によって高いエネルギーまで設定できる範囲
ウルセラも総エネルギーが多いから強いとは見にくいです。特定の深さに超音波を集めて意味のある熱凝固点を作るのが、あの機器の性格です。その観点で見ると、クールソニックはペン型の細かいアクセスを保ちながら、一発の照射の焦点と設定範囲を一緒に持っていく側にあります。
リフテラを長く使ってきたからこそ、この違いを比べて見ることができました。結局私が見たのは、エネルギーをどれだけ入れるかではなく、そのエネルギーをどんな焦点に集めて届けるかでした。
この比較を診察でどう使っているか
ショット数を聞かれる方が多いです。ほかの医院で何ショット受けたけれど、ここは何ショットか、という質問です。そのときは、ショット数だけではお答えしにくいとお伝えします。どの深さにどのチップで何J入れたのかが一緒にあって、はじめて比べられます。
皮膚が薄い方や、骨のすぐ上に当たる場所では、設定できる上限が下がります。冷却があってもそうです。ですから同じ機器でも部位ごとに違う値を使います。
HIFUはショット数が多いほど良いのでしょうか?
ショット数だけでは判断しにくいです。同じ総エネルギーでも、焦点の大きさとエネルギー密度によって組織に起こる熱の効果が変わります。どの深さにどのチップで何J入れたのかが一緒にあって、はじめて比べられます。
リフテラ3,000ショットとウルセラ300ショットは同じ施術ですか?
総エネルギーに換算すると近い値が出ることはあります。ただ一発の照射でできる熱凝固点の大きさと集中のしかたが違うので、同じ施術とは見にくいです。
熱凝固点(TCP)とは何ですか?
超音波が一点に集まり、その深さの組織が凝固する地点です。この点が治っていく過程でコラーゲンが並び直します。点の大きさと均一性は機器ごとに違い、その差が結果に関わってきます。
クールソニックは冷却があるので痛くないのでしょうか?
表皮の熱の負担が減るのであって、痛みがなくなるわけではありません。とくに4.5mmのような深い設定や骨に近い場所は、冷却があっても痛みがあります。
冷却があればエネルギーはいくらでも上げていいのですか?
いいえ。皮膚の厚さと脂肪層の量、骨格の構造、施術部位によって上限が変わります。同じ機器でも部位ごとに違う値を使います。
アクリル板のドットの大きさは実際の施術結果と同じ意味ですか?
同じには見られません。アクリル板で見える大きさを、人体の組織の熱凝固点の大きさにそのまま移すことはできません。一発の照射で焦点の性格が違うということを目で確かめる参考資料として見ています。

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